2022年7月13日にNPO法人こころ塾主催の『交流会&ミニセミナー』を開催しました。
その中で事前に寄せられた疑問・質問にお答えするメンタルヘルス対策Q&Aの時間を設けました。
時間の都合ですべてのご質問に答えることができなかったため、こちらのブログで回答をお届けします。
今後に活かせる情報やヒントが見つかるなら嬉しいです。
Q1 面談時の注意点と聞く内容を教えてください。
A1 レジュメ参考ページ P5「不調者情報への対応」 P8「望ましいヒアリング」
・様式3「ヒアリングシート」に聞いておきたい内容が全て網羅されていますので、ご活用ください。
ただし全てを一度に聞き取ろうとすると時間と相手の負担は大きいです。何気ない会話の中から必要な
ことを拾えると効率的です。面談で、普段の雑談で聞けなかった内容を中心に聞き取れるといいですね。
聞き漏らしてはいけない内容としては、専門家相談につなぐ必要の有無を判断するための
「睡眠、食欲、業務上のミスや事故、飲酒習慣」です。
Q2 担当者の耳に入った時には、すでに手遅れ(受診後、診断書の提出など)になっていることがあります。
事前に不調者を把握し、アプローチする方法を教えてください。
A2 レジュメ参考ページ P3「役割を意識した体制づくり」
・厚生労働省は、事業所のメンタルヘルス対策を4つのケアで進めることとしており、それは
①セルフケア ②ラインケア ③事業場内専門職によるケア ④事業場外資源活用によるケア です。
①セルフケアは、社員がメンタルヘルス研修やストレスチェック活用により体の健康と同じように、
こころの健康づくりにも取り組めるようになることです。②ラインケアは、上司が早期に部下の
不調に気付いて対応することや職場環境のストレス要因について対策をとることで、
メンタル不調者を生まない職場づくりをすることです。
つまり、上司は、職場のメンタルヘルス対策で重要な役割を担っているのです。
しかしメンタル不調は職場環境問題というより個人の問題という古い考え方が残っている事業所では、
ケガや身体疾患と同様に人事課の担当だと思われているのが実情です。
少しずつ本来の体制を整えていきましょう。そのためには、ラインケア研修が必要です。
さてすぐに体制が整わないとはいえ、社員の不調は増加傾向にあり、待ったなしの問題です。
ラインケアの強化と合わせて、担当者にしていただきたいことは、情報を現場に集めにいくことです。
日常的に社員の方とコミュニケーションをとり、気軽に相談できる信頼関係を作りましょう。
また不調サインにポイント絞って部下の様子を上司に聞くことで、上司が部下の何に気をつけなければ
いけないかを教育していきましょう。
様式2「不調サインの書き留めメモ」は、そのような取り組みの際に活用できるものです。
お使いください。
Q3 メンタル不調が窺われる社員との面談では、指導やアドバイスはどこまでいていいのですか?
A3 レジュメ参考ページ
P9「問題点の整理」、P10「不調者への対応」、P 11「産業医面談や受診の勧奨」
まず、病気や病気の疑い、また病気かどうか判断できない状態への判断や指示は、
担当者はしてはいけないと理解してください。それは疾病性にあたることなので、
医療の専門家以外がするとパワハラに該当する心配があります。
「うつのようだから早く受診するように」「うつが悪化する」等は、口にしないようにしましょう。
「今の状態がよくなるように専門家に診てもらってはどうか。何もなければそれで安心できるから」
「見たり聞いたりする限りでは、かなりしんどい状態のように思えるので、
主治医に相談してみてはどうだろう」というような勧め方がいいでしょう。
当人が同意しないと強制はできないのですが、具体的に起こっている職場の問題を共有すると
面談や受診のきっかけになることもあります。担当者は「職場も困っている」という事実を
伝えていいのです。担当や上司がケアしなくてはいけないのは、不調者だけでなく
周囲の職員も含まれることを忘れないでください。